銀魂の話、あるいは溝鼠組の構造について

いい年をして、銀魂についての話を展開する。

先に言っておけば、僕はヤクザに詳しいわけでも、ことさら銀魂に詳しいわけでもない。

ただ、ここ何年かずっと気になっていたことを、ちょっと文章にして自分で整理したい。

・なぜに「オジキ」と呼ばれるのか

銀魂作中、登場するヤクザは皆、溝鼠組であるようなので、舞台の歌舞伎町はその縄張りなのだろう。

さて、しかし溝鼠組は組長の次郎長と若頭の勝男しかネームドキャラが出てこない。

あれだけワラワラと兵隊がいて、人材難もここに極まる。

しかし、勝男が若頭だと言うことは少なくともウィキには明記されている。

同時に、次郎長が配下から「オジキ」と呼ばれていることも明記されている。

ここに違和感を感じない人は、おそらく風俗の待合室で代紋TAKE2ではなく空手婆娑羅伝銀二の方に手を伸ばす人だ。

・ヤクザとは疑似家族組織である

組織の長は家長であり、すなわち父である。

一般的に言えば、長男に当たるのが若頭で、子分の中で最も格が高い。

つまり、若頭は組長を「オジキ」ではなく「オヤジ」あるいは「親分」と呼ぶのが一般的だ。

では、「オジキ」とはなにか。そのまま、親分の兄弟である。

この場合、おそらく勝男の「オヤジ」は次郎長の舎弟か、兄弟分であったと推測される。

ただし、関西弁を喋るところを見れば、勝男は関西からの流れ者の様だ。そうなると、最も無理なく考えられるストーリーは次の通り。

関西でヤクザをやっていた勝男は地元で下手を打ったか、仕事をしたかして江戸に流れてきたのだろう。

その際、親分の伝手で次郎長の元に身を寄せた。

次郎長にとっては勝男は「甥」であり、溝鼠組にとっては「客分」である。

草鞋を脱いで、稼業を手伝う内に、人材不足の溝鼠組で頭角を現し、張り合う者もなく、「若頭待遇」(通称若頭)に収まったのではないか。

普通、盃をなおして次郎長を親とあがめればいいのだが、元のオヤジへの配慮か、叔父、甥の関係を貫いているのだろう。

・勝男はそうとして、他の組員は?

ではなぜ、勝男はともかく他の組員にまで「オジキ」と呼ばれるか。

これはもう、勝男に付いている組員は次郎長の盃を受けていないのではないかと言うことしかない。

勝男個人と兄弟盃を交わした舎弟なのだ。

だから、彼らにとっては「兄貴」の「叔父」は自分から見ても「叔父」であろうとして、次郎長を「オジキ」と呼称するのだ。

次郎長を「オヤジ」と呼ぶ組員が登場しないのは、単に比率の問題で、実際に溝鼠組を構成する者の大半が勝男の舎弟であるなら不思議ではない。

・結論

勝男は有能な男なんでしょ。

いつかまとめたかったので、すっきりした。